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久々の刹ニル♀シリーズです。
今回は、せっさんの就活の話。
今回は、せっさんの就活の話。
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君は、僕の女神さま!
ストロベリー・フィールド
刹那は悩んでいた。
普段ほとんど動くことのない表情がどんよりと沈んだように見え、いつも落ち着き払っていた空気は姿を消し、悶々としたオーラを纏っていた。
「そんな…落ち込むなよ、な?」
そんな彼に慰めの言葉を掛けたのはニールだった。
「…あぁ、すまない」
受け答えはするものの、刹那の表情にさほど変化はない。
それを見てニールは、彼に気付かれない程度に肩を落とした。
刹那がこれほどまでに気落ちしているのは、彼にとってまさに人生を左右する問題に直結しているからだった。
工学部の刹那も、他の学部から少し遅れて就職活動が始まった。
就職難と言われている時代だ。
成績優秀の刹那も、掲示板に載っている求人案内の中から複数の企業の就職試験に臨んでいた。
だが結果は全て、不採用。
これまでに十ほど受けたらしいが、数を重ねるごとに、刹那の空気は重く澱んでいった。
後半に至っては半ばヤケになっているようにも見えた。
本命だというの企業の試験はまだらしいが、このままではそこも危ないだろう。
正直、ニール自身も驚いていた。
彼のことだ、多少の苦労はするだろうが、一つくらい内定が来ると思っていたのだから。
刹那の試験の結果を見たことがあるが、どれも「優」だった。
だからこれほどまでに追い込まれる事態になるとは思わなかった。
それは、刹那自身も同じだったようだ。
だがその理由も、刹那本人もそしてニールも理解していた。
主に筆記が行われる一次試験は難なく通るのだ。
問題は、その後の面接だった。
元々言葉少なでストレートな刹那だ。
いくら面接練習を重ねているとは言え、企業によって質問内容も様々だ。
それに対して、臨機応変に答えられないのだ。
一言二言、さっくりとした言葉しか出てこない。
そこに表情の少なさが加わって、企業の人事部も苦い顔をするしかなかったようだ。
これにはニールも上手い言葉を掛けられなかった。
逆を返せばそこを直せばいいのだが、それが簡単に出来れば苦労はしない。
そうこうしているうちに不採用の通知が新たに届いて、刹那はますます影を落としていた。
「バカだなーお前。素直にやりすぎなんだよ。少しくらい化けの皮被れよ」
リビングのソファに腰を下ろして、缶ビールを片手に刹那に対してそう言ったのはライルだった。
相談に乗れないか、とニールが頼んでマンションに呼んでみたが、先ほどからフォローの一つも出てこない。
キッチンで夕食の支度をしながら、やはり失敗だった、と盛大にため息を吐いた。
「仕方ねぇなぁ。お前にとっておきの攻略術教えてやるよ」
そう言ったライルの声はどこか悪巧みを考えているようにも聞こえた。
酒が入っているのだ、まともなアドバイスではないだろう。
ちらりとキッチンから二人のいるリビングを覗くと、ライルが何か刹那に耳打ちしていた。
「……はぁ?」
ライルが耳打ちを終える頃に、刹那が顔を歪ませて素っ頓狂な声を上げた。
彼があんな声を出すのは滅多にない。よほどひどい内容だったのだろう。
ただでさえ精神的につらい時だというのに、これでさらに追い込まれたりしなければいいが。
「まぁーいいからやってみろって。絶対上手く行くから」
出来た料理をダイニングテーブルに運んだ時に見えたライルの表情は、とても自信に満ち足りていた。
どこからそんな自信が湧いて来るのか知りたかった。
数日後、刹那の元に届いたのは焦がれに焦がれた内定通知だった。
ライルのアドバイスのおかげか知らないが、とにかくニールは手離しに喜んだ。
「ありがとう、ニール」
「は?」
「お前のおかげだ」
そう刹那がとても嬉しそうな顔をして言った。
だがニールには何のことだかさっぱりわからない。
彼に何かいいアドバイスをしてあげられたわけでもないし、手助けをしたわけでもない。
しかし内定通知が来たことも、刹那が喜んでいるのも事実なわけだから、ニールはとりあえず、小さく頷いておいた。
(面接官全部姉さんだと思って試験受けてみろよ。お前だったら、それで十分だ)
10.08.29
title by=テオ
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面接官を全部ニールさんだと頭にインプットして試験受ける→とっても自然ないい笑顔で自然に質問に答えられる→試験に受かる=ニールさんのおかげ。という仕様。
刹那さんも結構いい感じにニール馬鹿なんですよ、っていう、そういう話。
くだらなさすぎる…。笑。
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