雑記・感想、小ネタなど。
ここから入ってしまわれた方は、右のBackから戻ってください。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
調子に乗って刹ニル♀の続き。
しつこいようですが刹那が男前でニールが乙女です。
苦手な方注意です。
あとグラ→ニル要素もあり。
まさかの続き物。(無計画!)
*****
仕方がない、なんて風には思いたくはないけれど。
平気だよ、と目元を赤くして-1-
「え、飲み会?」
電話越しに耳に入る愛しい恋人の声で紡がれた言葉は、胸を痛めなければいけない内容だった。
『あぁ、急に学科の人間とすることになった。出ないと後がひどいとまで言われてな…』
そう言う刹那の声は、どこかうんざりしているような口調だった。
最近ニールの仕事が忙しく、刹那もバイトだの何だのですれ違いが続いた。
それもようやく落ち着きを見せ始め、久しぶりに会うことが出来る、と思った矢先の刹那からのこの電話だった。
しかも明日は休みだ。
時間を気にせず、ゆっくりと二人で過ごせると、内心、胸を躍らせていた。
『出来るだけ早く切り上げて帰るつもりだ、』
「や、いいよ」
『…は?』
「だって刹那普段そういうの絶対出ないだろ?せっかくだから楽しんで来いよ。
会おうと思えばいつでも会えるんだから、さ」
『おい、ニール』
「じゃ、もう休憩終わるから」
そう言って、一方的に電話を切った。
刹那が何かを言いかけたのがわかったけれど、今となってはもう聞こえることはない。
会いたかったのは本音だ。
行かないでと言ってしまいたかった。
けれど、自分はオトナだ。
プライドとか、そういう問題じゃない。
刹那はまだ21だ。
やりたいことだって沢山あるだろうし、学生として果たさなければいけれない課程だってある。
それは学業に止まらない。
友人付き合いだってある意味大切な仕事の一つだ。
刹那は元々あまり人付き合いというものが得意ではない。
それを承知の上で誘ってくる友人というものを、大切にしてあげたいと、勝手ながら思っているのだ。
刹那の気持ちを無視しているものであろうが、どんなエゴであろうが、それはニール自身が望んでいることだった。
「…って、思ってるのに落ち込むのね」
デスクに突っ伏すニールに、苦笑いを浮かべながらスメラギが声を掛ける。
「…だって…二週間会ってない…」
二週間だ。
もう、彼と会わなくなって。
これが切ない以外の何であるか。
けれど本音を言って、後で後悔することなど目に見えている。
そんなニールを見て、スメラギは苦笑いを浮かべたままため息を一つ吐いた。
「仕方ないわねぇ、じゃあそんなニールに楽しい場を設けてあげるわよ」
「…飲みは、行かな、」
「今日夜飲み会行きたい人挙手ー!」
ニールの拒絶の言葉を丸々無視して、スメラギが室内に響く声を上げる。
翌日が休日ともあって、次々と手が挙がった。
「ニール君も行くのであろう?ならば私が出席しないわけにはいかないな」
そう言って嬉々として手を挙げたのは、ニールの上司である、グラハム・エーカーだった。
彼は、ニールに想いを寄せる男の一人だった。
もちろんニールは相手にはしていない。
「や、今日は…」
「行きますもちろん行きまーす」
スメラギは無理矢理にニールの手を持ち、挙げさせる。
そんなスメラギの行動に、ニールはまさにげんなり、という表情を見せた。
ただ単に自分が飲みたい都合の言い訳にされた気がして、ならなかった。
げんなりとした気持ちのまま、飲み会の場となる居酒屋へ足を運ぶ。
今頃刹那は、同級生と楽しく飲んでることだろう。
同級生。
その感覚に、また気持ちが沈む。
わかりきっていることだが、当然、自分よりも、若くて、可愛らしい。
刹那のことだ、きっと学科内で人気だってあるのだろう。
囲まれている姿を考えるだけで、憂鬱になる。
居酒屋に到着し、入ろうとしたところで別の団体と鉢合わせになる。
見たところ学生のようだ。
あぁ、いいな若いって。
そんな風に思っていたが、途端、思考が止まった。
だって、いたのだ。
その団体の中に、今日会う予定だった、愛しくてたまらない、恋人が。
刹那もニールの存在に気付いた様子で、目を丸めていた。
なんてことだ。
よりにもよって、こんなところで鉢合わせになるなんて。
「おやニール君?どうかしたのかい?」
動きが止まったニールを不思議に思い、グラハムが声を掛ける。
そこでようやくニールの止まった思考が動いた。
「あ、いや、何でも…」
思わず、そう言う。
同僚達は別段気にする様子もなく店に入って行った。
「そうかい。では私達も行こうではないか」
ぐい、と肩を引き寄せられる感覚に、焦りが生まれる。
この男はニールと刹那が知り合いであることすらおそらく知らないだろう。
だから、これはたまたまで、グラハムの過剰なまでのスキンシップだ。
けれどよりにもよって、刹那の前でやることはない。
肩に置かれた恋人のものではない男の手に、ニールは嫌悪感すら感じた。
ちらりと刹那を見た。
視線がかみ合った。
どこか、怒っているような眼だった。
「刹那、どうしたの?」
店の入り口で、刹那を呼ぶ可愛らしい声が耳に入る。
見れば、やっぱり可愛らしい女の子が立っていた。
髪がピンクと少し独特だったが、似合っている。
「…いや、なんでもない」
「そう?皆もう入っちゃったよ。行こう?」
「あぁ」
お似合いっていうのは、ああいうのを、言うんだろうなと思った。
グラハムに肩を引かれたまま、店に入る直前にまた刹那を見た。
今度はもうこちらを見ていなくて、胸がずきりと痛んだ。
title by=テオ
――――
こんなところでグラハム初書き。
口調間違ってませんか?汗。
PR